〈腰が不安で腰痛ベルトを外せない〉

1か月ほど前に30代の男性が腰痛で来院されました。彼は主にデスクワークをしていますが、時々現場で職人さんと一緒に内装作業を行っています。この方は20代半ばに椎間板ヘルニアを経験して以来、腰痛ベルトが必需品になっています。腰痛ベルトを外すと腰が痛み、再び椎間板ヘルニアになるのではないかという不安があるようです。

彼の動きは何をするにも恐る恐るで、とても若い30代男性の動きではありません。

彼はかなり体格は良いのですが、触診などをしてみると、腰回りの筋肉はがちがちで、体幹の力もかなり弱っていました。これでは痛みが出ていても不思議ではありません。椎間板ヘルニアの再発も心配です。

なぜこのような状態になってしまったのか?

もちろん以前、椎間板ヘルニアになってしまったこともありますが、四六時中つけられている腰痛ベルトの影響が大きいと思われます。腰痛ベルトは骨盤を絞め、体幹を安定させてくれます。特に腹筋群が弱い方はこれを付けると安定感、安心感があります。腰の痛みも出にくくしてくれます。ですが、そんな良いものでも弊害になる時もあります。

〈腰痛ベルトを常用するデメリット〉
1. 筋力の低下
腰痛ベルトを常用すると、その部位の筋肉がサポートされすぎてしまい、徐々に使われなくなります。結果として、筋肉が衰え、周囲のサポートが不足する可能性があります。これは、腰部の筋肉の弱体化や機能低下につながります。

2. 依存性の増加
腰痛ベルトの使用に依存しすぎると、身体がそれに頼るようになります。これにより、ベルトを外したときに腰部の安定性が低下し、痛みや不快感が増す可能性があります。依存性の増加は、腰痛の再発や慢性化を引き起こすリスクを高めます。

3. 血流の制限
腰痛ベルトが強く巻かれると、その周囲の血流が悪くなります。これにより筋肉に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、疲労や筋肉の弱化が進行する可能性があります。特に座る時は外してくださいね。

4. 心理的影響
腰痛ベルトの使用は、痛みに対する心理的な依存を促進する場合があります。使用者がベルトを外した時に痛みが増すという思い込みが強まり、不安や恐怖心が増加する可能性があります。

このように、腰痛ベルトの過度な使用は、筋力低下や依存性の増加などの弊害をもたらす可能性があります。

ではこの方が今後するべきなのは、腰回りのガチガチに固まった筋肉をほぐすこと。筋膜の癒着もあるので剥がしてあげること。

骨盤の位置や動きを整えること、そして、痛みがなくなってきたら体幹トレーニングを少しづつ行っていき体幹を支える筋肉たちをつけていくことが必須です。

時間はかかりますが、必ず腰痛ベルトに頼らなくても平気な身体に変わっていきますので、一緒に頑張りましょう!

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